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2005年 10月 07日

【主張】皇室典範会議 結論を急ぎすぎてないか

 皇位継承のあり方などを検討している「皇室典範に関する有識者会議」が今月末から意見集約を行い、十一月中にも最終報告をまとめる方針を打ち出した。しかし、最大の論点である「女系天皇」を認めるのか「男系」を貫くのか、という問題で合意が得られているとは思えない。なぜそれほど結論を急ぐのか、疑問を感じざるをえない。

 有識者会議は七月に中間報告としての論点整理をまとめた。それは、現在男系(父親の系統)男子に限られている皇位継承資格者が将来不在となった場合、あくまで男系を維持するための方策をとるのか、女性天皇や女系(母親の系統)も認めるのかという二つの選択を提示している。

 それがわずか二カ月余りの間に、急速に女系天皇容認の方向に傾いてきている。近く最終報告となると、そうした結論になる可能性が強い。

 これまで男系維持のための具体案としては、皇族の養子縁組を認めたり、戦後皇籍を離れた旧皇族を復帰させる案などがあった。これに対し女系容認の委員からは「それでも男系は先細りになり安定性に欠ける」などとして否定的見解が示されている。

 だが、女系天皇を認めることは、百二十五代にわたり男系という「唯一の原則」で皇位が継承されてきた伝統を覆すことになる。この伝統の基に天皇を国民統合の象徴としてきた国民の崇敬の念も揺らがないとはいえない。政治や行政の仕組みを変えるといったこととは次元が違い、この国のかたちや文化にかかわる問題なのである。

 その意味で明らかに結論を急ぎすぎている。男系維持のための方策について、いくらでも検討の余地はある。それなのに「まず女性天皇ありき」で否定しているように思える。

 また、この問題でなぜ皇族の意見を聴かないのかという声もある。吉川弘之座長は、意見聴取は憲法に反するとして、終始「聴かない」という立場を貫いている。しかし、そのこと自体も議論してよいのではないか。

 有識者会議は「早晩、皇位継承資格者が不在となる恐れがある」との危機感を持っている。だが、それが一、二年という切羽詰まった問題でないのも事実だ。ここはもう一度腰を落とし、広く国民の声に耳を傾けるべきだ。
sankei

皇室典範有識者会議 「女系天皇」容認に走る 伝統重視派、巻き返しへ

 安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大総長)は二十九日の第十二回会合で、継承「順位」の定め方について議論した。次々回会合から意見集約に入るが、現在まで百二十五代続いた皇室伝統である男系(父方に天皇を持つ)による継承は「将来行き詰まる」とし、女性・女系天皇容認の方向で走り出している。民間有識者らの間には、伝統重視の立場で発言するグループ発足の動きが目立っている。

 ■軽い気持ち

 有識者会議の委員には「国民に人気がある愛子さまが天皇になるのもいいと、軽い気持ちで引き受けた人が複数いた」(関係者)。各種世論調査でも国民の八割が女性天皇を容認している上、政府も「愛子さまには(皇位が)行く」(政府筋)との意向を漏らした経緯もある。

 七月二十六日に女性天皇容認と男系男子維持の両論を示した論点整理を公表した後も「国民の反応はわずかだった」(吉川座長)ことから、会議はこのまま女性・女系容認路線で進めようという判断に傾いたようだ。

 八月三十一日の前回会合でも、委員の間からは「男系男子では(皇位継承は)安定しない」などと男系重視派への批判が相次ぎ、女性・女系天皇容認でほぼ一致している。

 吉川座長は、男系重視派が提案する旧皇族と現皇族の養子縁組や宮家相続・設立による皇籍復帰について、「旧宮家は現皇室と六百年も前に分かれた」「急に皇族に戻って国民の理解は得られるのか」と否定的な見解を示している。

 だが、これには「旧皇族は今でも各種団体の名誉職に就くなどしており、皇籍復帰しても国民に違和感は少ないはずだ」(八木秀次・高崎経済大助教授)などの反論がある。

 ■男系の道探る

 有識者会議のあり方に対しては今年三月、全国約八万の神社で組織し、皇室にゆかりの深い神社本庁が、「男系男子による継承の歴史的意義と重み」を強調した見解をまとめたが、大きな反響はなかった。

 それがここにきて、危機感を強めた民間の皇室研究者や保守系の有識者の間で、男系男子による継承を主張する有志グループをつくり、一斉に声を上げようという動きが相次いでいる。

 今月に入って、小堀桂一郎東大名誉教授、小田村四郎前拓大総長、百地章日大教授、外交評論家の加瀬英明氏らが「皇室典範問題研究会」を結成。今後、伝統重視の必要性を世論に訴えていくという。来月初旬には、元外交官や政治評論家、元労働団体代表らのグループが「皇室典範を考える会」(仮称)を設立、男系男子維持への賛同者を募るとともに、外部から講師を招いて研究会などを開催する計画だ。

 当然、現皇族の中にも男系男子の維持を望む考えの方はおられて、「いずれかのタイミングで、ご意見を発信されるのではないか」(皇室研究者)といわれる。

                    ◇

 ■皇室典範会議委員が表明した男系男子継承に対する主な意見(第11回会議議事要旨から)

 ・確率的な計算上の数字では、誕生した子のうち男系男子だけによる継承は行き詰まる

 ・仮に旧皇族の復帰などがあっても、男系による継承は、結局は先細りになって安定性に欠け一般国民との区別がつき難い

 ・男系男子であることが天皇の制度の唯一の正統性の根拠だという考え方は、無理してハードルを高くし、正統性を自ら縛ってしまう

 ・憲法では世襲と規定しているのみであり、男系ということは規定していない。憲法の世襲は血統という意味で、男系も女系も入る

 ・男系男子については、理念論はともかくとして、現実的な方法論としては、特に安定性の面で劣るのではないか

 ・できれば男系男子を維持したいという気持ちもあるが、女性天皇、女系天皇を視野に入れて考えることになる

by thinkpod | 2005-10-07 15:51 | 政治経済


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