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2007年 03月 26日

Wikipedia

「小さい頃,百科事典を全部読んだ」

ジンボ・ウェールズ氏(Wikipedia創始者)

e0034196_2153250.jpg  ネット上の百科事典として人気を高める「Wikipedia」(ウィキペディア)。その創始者であるジンボ・ウェールズ氏が来日し,3月18日,東京都内で公開インタビューに応じた。

 ウェールズ氏はWikipediaの目的や背景にある考え方などに加え,「小さい頃に百科事典を読み切った」など,自身のエピソードも披露。Wikipediaのページなどでインタビューの開催を知った数十人の参加者が,熱心に耳を傾けた。参加者の中には実際にWikipediaで記事を書いている人もいた。3時間以上に渡った公開インタビューのハイライトを紹介する。

米ミドルベリー大学の試験で,Wikipediaの誤記を引用した誤答があったことについて。

 このミドルベリー大学のニュースで興味深かったのは,私が常日頃から思っていることと同じ観点を大学側が提示したことです。つまり,学生はWikipediaを引用するのではなくて,Wikipediaの記事を調査の出発点にすべきだ,ということです。

 学術研究の目的はジャーナルや本を出版すること,ジャーナリズムの目的はニュースを報道することです。学術研究は新しい知識を形成し,新聞や雑誌などのジャーナリズムは新しい情報を生み出します。

Wikipediaはあくまでもスタート地点

 一方,Wikipediaは異なります。Wikipediaは既に存在する情報を分かりやすく要約し,提示することが目的です。Wikipediaの改良が続けられ,完全な百科事典になったとしても,学生にとってWikipediaはあくまでもスタート地点であって,そこから調査を発展させてゆくべきです。

 Wikipediaはあくまでも「知識の要約」であるべきなのです。

運営と独立性について。

 運営コストの削減は常に重要なことです。と同時に,独立を維持することも重要です。過去に,ある大手の検索エンジン会社から,Wikipediaのすべてを無料でホスティングします,という申し入れを受けたことがあります。しかし,一つの大きな会社からだけ支援を受けることは,良くないことだと思いました。

 私たちは「Googlepedia」や「Yahoopedia」,「2ちゃんねるpedia」(会場から笑いの声)にはなりたくないのです。あくまでもWikipediaとして存在したいのです。

 ただ,韓国のYahoo!からサーバーの寄付を受けたことはあります。こういったことは大切です。しかし,もしYahoo!の方からYahoo!に関する記事を変えて欲しいといった申し入れがあったら,それは「グッバイ」ですね。

Wikipediaの前に従事していたプロジェクト「Nupedia」が失敗した理由について。

 知らない方がいると思うのでNupediaの歴史を説明します。Nupediaは非常にコントロールされたトップダウンのアカデミックなシステムでした。一つの記事を公開するまで7回の査読がありました。

 なぜ失敗したかというと,参加するのが難しかった,そして面白くなかったのが理由だと思います。

Wikipediaの開始直後は眠れなかった

 Wikiを発見して,Wikipediaを始めたとき,2週間くらいはほとんど眠れませんでした。(WikipediaがNupediaと異なり自由に記事を記述できるシステムなので)私が寝ている間に誰かがWikipediaを破壊してしまうのではないかと思ったからです。

Wikipediaのゴールについて。

 ゴールはこの地球上に住んでいる人のためにすべての言語で百科事典を作ることです。現在,英語,ドイツ語,フランス語,オランダ語,ポーランド語,日本語の6言語に関しては25万件以上の記事があり非常に充実しています。一方,中国語の記事はまだ10万件に過ぎません。

 また,ベンガル語やウルドゥ語,スワヒリ語のように世界中で多くの人に話されているのに,Wikipediaの記事が非常に少ないものがあります。Wikipediaの将来に関しては,これらの言語について考えています。そういった言語を話す方に参加していただいて,記事を書いて欲しいと思っています。

日本語版Wikipediaでは小中学生が活躍しています。エールを送って下さい。

 (日本語で)がんばって!

来日の目的について。

 2週間前に日本に来て,今後も2週間いますから,全部で4週間滞在します。来日の第一の理由は「Wikia」(ウェールズ氏が立ち上げたWikiの無料ホスティング・サービスを提供する会社)のプロモーションです。

 また,私の奥さんは日本人とのハーフで日本生まれです。娘は6歳なのですが,日本の親戚を訪ねたり,日本の文化を学ばせたいと思います。今,私が日本語を話すと,娘が間違いを指摘してくれます。

日本のWikipediaにはサブカルチャーの記事が多いことについて。

 英語版のWikipediaでもサブカルチャーの記事はたくさんあります。日本のサブカルチャーは米国のギーク(オタク)の間で人気があります。ですから,それが問題だとは思いません。ただ,ビデオゲームのキャラクターの説明が国家元首の説明よりも長いのはちょっと奇妙だとは思いますが。

 Wikipediaというのは参加している人々の関心を反映します。今後規模がもっと大きくなることで,記事のバランスが取れてゆくでしょう。

初期の段階でWikipediaが大きくなった原動力について。

 一つは中立のポリシーを掲げたことによって,多くの人が参加できたことです。プロジェクトは当初から多くのボランティアが必要であると分かっていました。ですので,どんな人でも受け入れるというポリシーを明確にしていました。

自分自身や子供時代,人生の信念について。

 (日本語で)ジンボ・ウェールズです。アメリカ人です。私の日本語上手ではありません。オタクです。

 (英語に戻って)8年前に日本語を1年間勉強しました。子供のころは風変わりで,好奇心旺盛で本をたくさん読みました。私はちょっと普通とは異なった教育を受けました。幼稚園から8年生までクラスにたった4人しかいないという,とても小さな学校に通いました。その頃,読みたいものを読む自由な時間がたくさんあったので,百科事典を読み切りました。

 人生の信念はたくさん持っていますが,「reason」(良識)と「friendliness」(親切)に集約されると思っています。

記事執筆者,特に管理者レベルの人のプロファイルについて。

 私は世界中を旅して多くのWikipediaの会合に出席しているのですが,典型的な「Wikipedian」(記事執筆・編集者)は世界中で共通しています。多くは20代後半か30代で,大学を出ていて,専門的な職業に就いています。また,学生や退職した人,大学の教授なども参加しています。

 典型的なWikipedianとは言えませんが,10代の若い人も一部にいます。彼らはとても優秀なWikipedianです。百科事典の記事を書くという趣味は,他の10代の興味と比べて成熟したものだと言えるのではないでしょうか。

他人との協力,最重要のスキル

 Wikipedianは非常にフレンドリーなコミュニティです。もっともそれは当然で,そういう仕組みでWikipediaを作っているからです。良いWikipedianは多くの記事を書き,そして他の人たちがそれを修正してゆきます。そういう作業は人と協力することや,やさしくあるということにつながるものです。

 ブログでは敵意があって激しい人でも有名ブロガーになれます。有名ブロガーになるには,文章が上手く,強い主張があり,面白いことが書けなければいけません。有名ブロガーになるスキルとして,他人と協力することは二次的なものです。一方,Wikipediaでは他人と協力することが最重要です。

日本人Wikipedianについて。

 (Wikipediaを運営する)ウィキメディア財団の国際コミュニティーに,もっと多くの日本人の方が参加して欲しいと考えています。日本語版のWikipediaは非常に大きく重要なものですが,時として孤立しています。その原因の一つは日本語という言語の問題でしょう。しかし,Wikipedianというのは非常に親切で優しい人たちなので,英語力に自信がなくても問題ありません。

【修正履歴】当初,記事前半部分の「Wikipediaはあくまでも『知識の要約』であるべきなのです。」の後に「私は外部へのリンクなどがしっかりと書かれていない記事を好みません。」との一文がありましたが,翻訳ミスであることが判明したため削除しました。お詫びして訂正いたします。(2007年3月22日)

(構成・要約は武部 健一=ITpro)
 [2007/03/22]

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20070320/265824/




【インタビュー】有志で取り組む「史上最大の百科事典」――Wikipedia日本語版の舞台裏

Wikipedia日本語版 管理者・ビューロクラット 今泉 誠氏

e0034196_21533264.jpg  最近は分からないことがあれば、取りあえずGoogleで検索してみる。そんなとき、大抵検索結果のトップに上がってくるのが「Wikipedia(ウィキペディア)」の項目だ。その内容は幅広く、かつ詳しい。項目内でリンクが張られた用語を追っているうち、調べ物を忘れてつい読みふけってしまうこともしばしばだ。
 Wikipediaは有志による運営というが、一体誰がどのように運営しているのだろう。サーバーはどこにあるのか。費用はどうやって調達するのか。そんな疑問に、Wikipedia日本語版の管理者・ビューロクラットの今泉 誠氏に答えていただいた。

■まずは、Wikipediaの成り立ちを教えてください。
 もともとは米国のジミー・ウェールズ氏が2001年1月に個人で立ち上げた「Wikipedia.com」というサイトが始まりです。最初は英語版だけでしたが、さまざまな言語版ができ、徐々に拡大していきました。現在は、非営利団体ウィキメディア財団がWikipediaを運営し、その下でそれぞれの言語版が活動している形です。
 日本語版ができたのは2001年5月です。とはいえ、当時はWikiで日本語が使えなかったので、すべてローマ字表記で項目も23個くらいしかありませんでした。日本人のユーザーもほとんどいなかったですしね。2002年夏にWikiのソフトが改良されて日本語に対応してから、日本人のユーザーが徐々に集まってページも充実していったのです。昨年、日本語版は30万ページを超えました。

■日本語も含め、今は何言語くらいあるのでしょう?
 今は261言語です。ページでいえば、英語が一番多くて約168万ページ、ドイツ語が約55万ページ、フランス語が約46万ページ、ポーランド語が約36万ページ、日本版が約34万ページといったところです。

■それぞれの言語版は用語解説や運用で連携しているのですか。
 全くしていません。完全な独立です。言語によって掲載する用語も解釈も違いますから、連携するのは現実問題として難しいのです。ウィキメディア財団からはいくつかのポリシーが示されていて、それに基づいてそれぞれが自主的に運営しています。

■Wikipediaの運営体制はどうなっているのでしょう。
 日本語版だけで言えば、現在は登録ユーザーが約11万8000人います。その中に、「管理者」と呼ばれるユーザーが56人、「ビューロクラット」と呼ばれるユーザーが5人います。それぞれは役割が異なります。

 一般の登録ユーザーは、項目の投稿、書き込みしかできません。Wikipediaは未登録のユーザーでも項目の投稿、書き込みができますから、その意味では、未登録のユーザーと権限はあまり変わりません。ただ、登録ユーザーはユーザー名を示して書き込みをしたり、Wikipedia内での議論に参加することで、未登録ユーザーよりも信頼度が上がります。

 一方、管理者は項目を削除したり、ある項目について編集合戦や“荒らし”が起こったときに書き込み禁止にしたりできます。一般の登録ユーザーはある程度実績を積んだ後、管理者になりたければ立候補できます。立候補者が出ると、登録ユーザーで信任選挙をします。投票したユーザーの75%以上の信任が得られれば、管理者になれるわけです。

 このとき役割を果たすのがビューロクラットです。登録ユーザーと管理者では項目の削除や書き込み禁止ができるなど、権限が違います。だから、システム上、この権限を変更しないといけません。それができるのがビューロクラットなのです。ただ、これらの区分は上下関係というよりは、運営上の役割の違いです。項目を編集する際は、登録ユーザーも管理者もビューロクラットも関係ありません。

■管理者は担当範囲などを決めて定期的に荒らしなどをチェックしているのですか。
 担当範囲は特に決めていません。管理者は編集合戦や荒らしがあると「保護」という状態にして書き込みを禁止するわけですが、定期的に見て回っているというよりは、なんとなく見ていて気が付いたら保護にする、という程度です。あるいは、管理者以外のユーザーから保護申請があったときに、それを検討して保護にします。Wikipediaのポリシーとして「好きな人が好きなときに好きなことを好きな範囲でやる」というのがあるので、このような体制になっています。

■著作権などを管理するのは大変なのでは?
 画像などが掲載されているものもありますが、基本的には本人が撮影したものや友人・知人から委託を受けたと証明できるものに限定しています。文章は何かのコピーだと判明すれば即削除。書き込みについては、情報ソースがはっきりしていなければ書かないということにしています。
 Wikipediaは非営利団体ですから、もし裁判になると裁判費用すら出せません。ですから、疑わしいものは避けるというスタンスです。

■Wikipediaの運営資金について教えていただけますか。
 全額寄付です。ウィキメディア財団は年に1度程度、寄付金を集めるキャンペーンをします。現在は日本円にして1億円程度集まっています。多くは個人からの、10ドル、20ドル単位の小口の寄付ですね。これが財団の運営費とシステム維持費になります。財団の維持費といっても、財団の理事が年に1度ミーティングをする際の旅費と財団の常駐スタッフ5人の給与程度なので、90%以上がシステム維持に回されています。

■Wikipediaのあれだけのデータを蓄えるのですから、システムは大規模でしょう。
 米国フロリダ州にデータベースサーバーとWebサーバーが、ヨーロッパの2カ所とアジアの1カ所にキャッシュサーバーが設置してあります。フロリダのデータベースサーバーは三重くらいに冗長化してあったと思います。現在のサーバー台数は全部で350台で、そのうち295台が稼働中です。サーバー数はどんどん増えています。

■これだけのプロジェクトが有志と寄付で動いているのはすごいと思います。何がその意欲につながるのでしょうか。
 やはり「質、量ともに史上最大の百科事典を作る」というWikipediaのコンセプト自体でしょう。日本は昔、一家に1セットは百科事典がありました。それが今はなくなっています。また、世界にはもともと百科事典というものがない国や文化もあるのです。でも、百科事典というのは、その時代の人間の知識の集大成です。それを次世代に残すのはとても重要で、やりがいのある試みだと思います。
 当面の目標は、今ある平凡社やブリタニカの百科事典を越えることです。Wikipedia日本語版もずいぶん項目が増えましたが、項目にまだまだ偏りがあります。内容も必ずしも充実しているとはいえません。この目標を達成するだけでも、あと数十年はかかるでしょう。


■変更履歴「登録ユーザーの75%以上の信任」としていたのを「投票したユーザーの75%以上の信任」と訂正しました。
[2007/3/14]

(平野 亜矢=日経パソコン)
 [2007/03/13]

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20070313/264635/
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by thinkpod | 2007-03-26 21:56


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