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2007年 03月 15日

慰安婦問題の再調査が必要だ

「従軍慰安婦」の政治決着は見直すべきだ

2007-03-03 / Law/Politics
いわゆる従軍慰安婦について「強制があったという証拠はない」という1日の安倍首相の談話への反発が広がっている。韓国の外相が「韓日関係に有益でない」と批判し、こうした動きを伝えるAP電がワシントン・ポストなど約400紙に配信されている。

この記事では「安倍氏のコメントは歴史的な証拠と矛盾している」として、「1992年に歴史家の明らかにした証拠」をあげている。これは吉見義明『従軍慰安婦資料集』(大月書店 1992)を指していると思われるが、この本には一つも「国家による強制」を示す証拠はない。典型的なのは「軍慰安所従業婦等募集に関する件」という通達だが、これは業者が慰安婦を募集するとき、軍部の名前を利用しないよう注意せよと命じるもので、むしろ軍が慰安所の経営主体ではなかったことを立証している。安倍氏のいう「広義の強制」とは、この『資料集』で吉見氏の主張した「詐欺などの広義の強制連行も視野に入れるべきだ」という詭弁である。

AP電は、安倍氏の話が1993年の「河野談話」と矛盾すると指摘しているが、これは事実だ。この談話が日本軍の戦争犯罪を政府が認めたと受け取られ、米議会の「慰安婦非難決議」などの動きが繰り返し出てくる原因になっている。この談話をまとめた石原官房副長官(当時)は、その事情を次のように明かしている:
日本政府が政府の意思として韓国の女性、韓国以外も含めて、強制的に集めて慰安婦にするようなことは当然(なく)、そういうことを裏付けるデータも出てこなかった。(慰安婦の)移送・管理、いろんな現地の衛生状態をどうしなさいとかの文書は出てきたが、本人の意に反してでも強制的に集めなさいという文書は出てこなかった。[中略]だけども、本人の意思に反して慰安婦にされた人がいるのは認めざるをえないというのが河野談話の考え方、当時の宮沢内閣の方針なんですよ。
そして記者の「宮沢首相の政治判断か」という質問に、「それはそうですよ。それは内閣だから。官房長官談話だけど、これは総理の意を受けて発表したわけだから」と答えている。言外に、石原氏は河野談話に反対だったことが読み取れる。産経新聞によれば、当時、韓国側は談話に慰安婦募集の強制性を盛り込むよう執拗に働きかける一方、「慰安婦の名誉の問題であり、個人補償は要求しない」と非公式に打診しており、石原氏は「強制性を認めれば、韓国側も矛を収めるのではないか」との期待感を抱き、強制性を認めることを談話の発表前に韓国側に伝えたという。

石原氏は、別のインタビューでは「韓国まで元慰安婦を探しに行って訴訟を起こさせ、韓国議会で証言させて騒ぎをあおった弁護士」の動きに怒りを表明している。これは、私も書いた福島瑞穂氏や高木健一氏のことだ。要するに、日本人弁護士の起こした騒ぎに韓国政府が対応せざるをえなくなり、その立場に配慮した宮沢政権が政治決着として出したのが河野談話だったわけである。

しかし政府が歴史をみずから偽造した河野談話は、問題をさらに大きくしてしまった。4月の安倍訪米を控え、民主党が多数派になった米議会では、「慰安婦非難決議」が可決される可能性もある。日本軍が「性奴隷」を使っていたという誤った非難がこれ以上広がることを防ぐためにも、安倍首相自身が、彼の信念に従って「慰安婦は国家が強制したものではない」という事実を言明すべきだ。対外的な摩擦を恐れず、原則的な立場を明確にすれば、「弱腰」とみられて低迷している内閣支持率も回復するのではないか。

追記:Wikipediaの記述もひどい。いまだに吉田清治(Kiyosadaとなっている)の「告白」を根拠にしている。これと吉見本と河野談話が、この種のデマの出典の定番だ。

池田信夫 blog
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/56c1b3873ea7cf5ad9680d6cbf754a9e


慰安婦問題の再調査が必要だ

2007-03-12 / Law/Politics
慰安婦をめぐって、なぜか海外メディアの報道が過熱している。驚くのは、その事実認識の杜撰さだ。特にひどいのはNYタイムズの1面に出た記事で、3人の元慰安婦の証言を引用して「過去の否定は元性奴隷を傷つける」と題しているが、彼らは強制連行とは関係ない。台湾人と韓国人は軍に連行されたとは証言していないし、オランダ人のケースは軍規に違反した捕虜虐待事件で、軍は抗議を受けて慰安所を閉鎖した。

LAタイムズもワシントンポスト(AP)もEconomistも、具体的な根拠をあげずに「性奴隷が存在したことは歴史的事実だ」と断定している。そろって慰安婦の数を「20万人」としているところをみると、出所は吉見義明氏の本の英訳(およびその孫引き)だと思われるが、この数字は当時の国内の公娼の総数が17万人だったことから考えてもありえない。秦郁彦氏の推定では、2万人弱である。しかも吉見氏でさえ、軍が強制連行した証拠は見つからなかったことを認めている。

さらに問題なのは、米下院の慰安婦非難決議案だ。この決議案は委員会では可決される可能性が強まっているようだが、その内容たるや「慰安婦」システムは政府によって強制された軍用売春であり、強姦、妊娠中絶の強要、性的虐待で死に至らしめるなど、残虐さと規模において20世紀最大の違法行為であると宣告して国会決議と首相による謝罪を求める、恐るべきものだ。当事者でもないアメリカが、こんな事実無根の喧嘩を売るような決議案を出すこと自体、日本の外交がいかになめられているかを示している。

これに対して「強制連行の証拠があるのか」と追及されて、提案者のマイケル・ホンダ議員は「日本政府が1993年に謝ったじゃないか」と答えた。つまり事実関係を徹底的に究明しないで政治決着によって謝罪したことが、かえって強制連行が行なわれたという嘘を裏書きしてしまったのだ。日本では、さすがに朝日新聞でさえそういう主張はしなくなったが、英文の資料は吉見本などの古い情報ばかりなので、欧米のメディアがミスリードされているのである。いまだにウィキペディアでさえ吉田清治証言を引用している。

これについて元NSCアジア部長のマイケル・グリーン氏は「強制性の有無を解明しても、日本の国際的な評判がよくなるという話ではない」としているが、安倍首相が「非生産的だ」として議論を打ち切った後も報道がエスカレートしているところをみると、話は逆だろう。日本政府があやふやな態度をとってきたことが、かえって「事実はあるのに隠している」という印象を与えているのだ。特に4月の安倍訪米を控えて、3月中に下院で決議案が可決されれば、これが最大の日米問題になるおそれもある。

メディアの責任も重い。私も当時、取材したひとりとして自戒もこめていうと、1990年ごろには終戦記念日ネタも枯渇して、本物の戦争犯罪はやりつくしたので、各社とも一部の在日の人々が主張していた「強制連行」をネタにしようとした。しかし「軍が強制連行した」という裏は取れなかったので、NHKは抑えたトーンにしたのだが、朝日新聞は吉田証言を「スクープ」して、激しくキャンペーンを展開した。それが捏造だったことが判明しても、最近は「強制連行があったかどうかは枝葉の問題だ」などと開き直っている。

自民党の「有志」にまかせないで、もう一度政府が調査を行い、公文書をさがすだけでなく、元慰安婦を国会の参考人に呼ぶなど、徹底的に事実関係を確認し、その結果を英文でも公開すべきだ。米下院が元慰安婦を証人として呼んでいるのに、日本の国会がやらないのは怠慢である。この問題の処理では、安倍首相だけでなく麻生外相も鼎の軽重を問われる。

追記:こういう情報のバイアスを少しでも是正しようと、慰安婦についての英語の情報源を提供するブログを立ち上げた。英語の記事やコメントを自由に投稿してください。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/ab4e9f4e372098e706c47ba5c5d032a2


朝日新聞という亡霊

2007-03-13 / Media
専門とは関係のない慰安婦問題に首を突っ込むのは気が進まなかったが、膨大なコメント(しかも驚いたことにノイズがほとんどない)をいただいて感じたのは、「慰安婦問題」なんて最初からなくて、これは無から有を作り出した朝日新聞問題なのだということだ。これは私の専門(メディア)とも関係があるので、簡単に事実経過を書いておく。

前にも書いたように、私も朝日と同時に強制連行問題を取材していたから、朝日が吉田証言を派手に取り上げて1面トップでキャンペーンを張ったときは、「やられた」という感じだった(*)。しかしよく調べてみると、吉田の本は1983年に出ていて、当時はだれも相手にしなかった。しかも、それを追跡取材した韓国の済州新聞の記者が、そんな事実はなかったという記事を、すでに1989年に書いていた。しかし朝日が騒ぎ始めた1991年が「慰安婦元年」になったのである。

金学順が最初に慰安婦として名乗り出たとき、それは強制連行とは関係なく、戦後補償の問題だった。軍のために働いたのに、賃金(軍票)が紙くずになってしまったので、それを賠償しろという訴訟だったのだ。国家賠償訴訟でも「身売りされて慰安婦になった」と明記されている。ところが、この提訴を朝日が女子挺身隊として強制連行された慰安婦の問題として取り上げたのが脱線の始まりだった。女子挺身隊というのは工場などに動員された女性のことで、慰安婦とは関係ない。

もう一つの問題は、吉見義明氏の発見した通達だ。これを1992年の1月、宮沢訪韓の直前に朝日は1面トップで「政府の関与」の証拠として報じ、女子挺身隊にも戦後補償せよというキャンペーンを張った。おかげで宮沢首相は、韓国で8回も謝罪しなければならなかった。これが彼のトラウマになって、河野談話を生み出したのである。この通達はもちろん女子挺身隊とは関係なく、軍が民間業者を取り締まる文書にすぎない。

この虚報の原因も吉田清治にある。彼が「慰安婦は女子挺身隊だった」と証言したからだ。要するに、吉田のインチキな「告白」にもとづいて朝日が筋書きをつくり、それに乗って福島瑞穂氏などの社会主義者が慰安婦を政治的に利用し、韓国政府をけしかけて騒ぎを拡大し、それに狼狽した宮沢政権がわけもわからず謝罪したのだ。これは「あるある」をはるかに上回るスケールの、戦後最大級の歴史の捏造である。

しかも朝日のでっち上げを河野談話が追認したため、これが世界のメディアの「常識」になってしまい、NYTもワシントンポストも「慰安婦=強制連行=20万人」というのが「歴史家の定説だ」と書いている。韓国では、吉田証言や慰安婦=女子挺身隊という話が今でも教科書に載っている。朝日の捏造した歴史が、アジア諸国との関係を悪化させる原因になっているのだ。

私の友人には、朝日の記者もたくさんいるが、彼らは今の50代以上の幹部についてはあきらめている。「あの人たちの世代の生き甲斐は、反戦・平和の正義を世に広めることだったから」という。この意味で朝日は、社会主義をいまだに信じる冷戦の亡霊なのである。ただ、今のデスク級はもう世代交代しているので、現場はこの種のキャンペーンには冷淡だ。今回の慰安婦騒ぎでも、不気味なぐらい朝日は沈黙を守っている。そりゃそうだろう。口を開けば、吉田証言や女子挺身隊などの捏造問題を検証せざるをえないからだ。

だから慰安婦問題を徹底的に解明し、宮沢氏や河野氏を国会に呼んで経緯を明らかにするとともに、騒ぎを作り出した朝日新聞の責任も追及すべきだ。それが過去の戦争や冷戦の亡霊と決別し、日本がアジアとの成熟した友好関係を築く第一歩である。海外に事実を伝えたい人は、英文ブログに投稿してください。

(*)実は、NHKも朝日の記事の後追いで、吉田の話をドキュメンタリーにしようとしたが、裏が取れなかったのでやめた。テレビは新聞と違って、ないものは描けないからだ。

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/1677143840b260e4b0de03304293c882
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by thinkpod | 2007-03-15 01:57 | メディア


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