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2007年 03月 11日

駐留軍軍人の子女及び警察官に対する暴行事件と売春行為対策に関する緊急質問

参議院会議録第二十八号
昭和二十八年二月二十七日(金曜日)
  
○藤原道子君 私はこの際、駐留軍軍人の子女及び警察官に対する暴行事件と売春行為対策に関する緊急質問の動議を提出いたします

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○藤原道子君 私はこの際、駐留軍軍人の子女及び警察官に対する暴行事件と売春行為対策に関する件につきまして御質問申上げたいと存じます。吉田総理初め各所管大臣より責任ある御答弁をお伺いいたしたいと存じます。
 政府は、総理を初めといたしまして、事ごとに道義の高揚をやかましく主張されておりまするが、一体、道義の頽廃の根源はどこにありとお考えでありましようか。各地における青少年の特に性犯罪、学童の桃色遊戯等の取調べの際、彼らは係官に対して、アメリカ兵の真似をしたことがなぜ悪いかと反問し、大人の世界に精一杯の抗議をいたしておるのであります。自由の国、民主主義の国、野蕃国日本を指導し、併せて日本の安全を守るために駐留していてくれるのだと教えられ、信じている彼らのこの言葉を、総理を初め大臣方は何とお聞きになるでございましよう。次代の責任を負うてくれる大切な青少年を蝕みつつある不幸な原因を取去ることこそが、先ず絶対に大事なことではないかと存ずるのでございます。悪夢のような戦争によつて、占領下の苦しい生活への移行も、吉田政府の言うところの信頼と和解と友愛の講和条約の締結となり、昭和二十七年四月二十八日、いよいよ日本は独立国となつたのでございます。ところが、安全保障条約による行政協定によつて日本の全土は端から端まで米軍の駐留基地と相成り、これら基地を中心といたしまして、国民の想像も付かないところの歓楽街は出現する。経済的貧困から、戦争の傷手から、生活を破壊され、或いは米軍の擬装恋愛、結婚予約不履行等から、乙女の純情を裏切られたり、これらによつて自暴自棄となつて転落した、かわいそうな娘たち、これを食いものにするボスの出現等、全く風紀の紊乱は極度に達しております。勤勉を世界に誇つた青年たちも、基地附近におきましては、勤労意欲の頽廃となり、性病はその若い肉体を蝕み、学童は学ぶべき学校さえも失うというような実情にあります。
 それから、米軍の暴行事件は、昨年十二月まで独立後八カ月間におきまして千八百七十八件を数え、なお泣き寝入りになつておりまする件数は厖大な数であろうと想像されております。宮城県某基地附近におきましては、夜中にキヤンプから飛出して来た米兵が、民家の一軒々々を、女はいないか、女はいないかと、戸を叩いて叫び起すとか、いつやつて来るかとの不安は、男子所用の外出さえもできず、日夜不安に駆られているという事例さえあります。これが一体独立国と言えるでしようか。紳士国を以て任ずる米国民のなすべき所業でありましようか。過日衆議院におきまして我が党の長谷川保氏が沼津事件を中心に質問されましたとき、政府は、実情を調査し、厳重に抗議をすると言明され、又、米兵の他の頻発したる事件等につきましては、その都度、行政協定によつて処罰されているとの言明でありましたが、私はこの際、これらの暴行事件が如何に取扱われたか、議会を通じて国民の前に曲かにすることを要求いたします。このことは、米軍に裁判権があることによつて、どうせ闇から闇へ葬られているのであろうと、最近とみに米軍に対して不信的に反米的に傾きつつある日本国民に、その公平なる処置が示されることこそ、米軍にとつても、その信頼を高め、且つ日米友好に役立つものと信ずるが故にお伺いいたすのであります。即ち、今日まで何件が起訴され、如何なる判決をされたかを明かにされたいのであります。昨年の西多摩における女教師に対する米軍兵士二名の強姦事件の判決は、日本側から見まするとき、明かに強姦であるにもかかわらず、凶器を以て脅迫しなかつたとか、或いは又相手方に傷を付けなかつたとか、脣を許したではないかとか、暴力で大男の米兵が口を蔽うたことが明かであるにもかかわらず、これらの理由によりまして和姦と見ての無罪の判決でございました。これらについては、アメリカの習慣から罰するのではなく、又敗戦国の女性だからというわけでもなかろうが、日本の国民感情を無視し、教師としての立場から、日本女性として必死の勇気を以て抗議したことに対し、明らかに勝者の横車のような感じのする判決に対しましては、何らかの申入れをすること等はできないものでございましようか。独立国らしい道が少しは認められなければ、今後もしばしば問題が起り、その都度日本の民心が米国を離れるのではなかろうかと案じられるのであります。この危険多き弱い女性の立場を思いますとき、特にお伺いいたすのでございます。なお、警官が逮捕に際しまして万一発砲したとき、不幸にして射殺等の事態が起りました場合、この責任はどうなるかを、この際、明かにしておきたいと存じます。
 曾つてアメリカは、第一次欧州大戦のとき、三百万の青年を動員いたしました。国内におきましては五マイル・ゾーン、十マイル・ゾーンを設定し、五マイル以内には酒場を置かない、十マイル以内には売笑婦を許さないという規定を設けまして、この際、逮捕されました私娼は一万五千名に上つたと言われております。かくて米軍は、その母の手から託されました青年を、その家庭を離れている間、決して墮落させない方針で、彼らを預かつて来たのでございます。更に、彼らが仏国の戦線に向いましたとき、フランス当局は米軍司令官に向いまして、貴軍は幾ばくの女子を必要とせらるるかとの問に対しまして、事、米軍に限りその必要なしと言明し、終始それで一貫しております。私は、米軍の日本進駐に対し、この尊い母に代つて青年の純潔と健康と堕落から青年を守つた米軍をこそ、信頼し、期待していたのであります。併しこの期待はみごとに裏切られました。基地附近の百鬼夜行の有様は、学童の勉学する所まで荒され、幼児さえ米兵の行為の真似をして遊ぶ状態は、ひとり日本の母を悲しませるのみならず、遠く我が子の上を思うアメリカの妻が、母たちが、若しこの実情を知りましたならば、その歎きと、当局に対する不信と憤りは、どのような結果を招くでありましようか。それとも、アメリカの婦人尊重、正義人道とは、アメリカ国内だけであつて、ヨーロツパではそれは紳士道を守るが、アジアの国々においては、その国内法を無視し、何をしてもよい、軍紀も何も通用しないことになつているので、ございましようか。(「それが植民地ですよ」と呼ぶ者あり)婦人解放の立場からも、外国事情に明るい外務大臣に特にお伺いいたしたいのでございます。
 一九五二年七月二十四日の朝日新聞は、オハラ米国上院議員がラヴエツト国防長官に対し、日本で陸軍要員を対象とする売春行為が盛んに行われ、これを米憲兵が傍観している旨の日本の苦情文を提出して実情調査を要求したのでございます。陸軍当局は七月二十三日、オハラ議員に対し、次のような回答をいたしております。
 一、日本は売春は数百年来行われており、政府はこれを黙認しておる。
 一、若干の地方を除いて、日本の取締法規は売春禁止よりは性病予防を目的としておる。
 一、米軍当局においては売春を行つたり又はこれに関係ある日本人を取締る管轄権はない。
 と言明いたしておるのでございます。売春国である旨を世界に向つて闡明されたのでありますが、日本政府はこれに対して何らか抗議されたかを伺いたいのでございます。
 なお、アメリカ国内においてかかる答弁をしておる米軍当局が、日本において真に何らの介入をしていないのでございましようか。昭和二十七年六月二十八日附で第二十四歩兵師団司令官ジヨージ・W・スマイズ少将は宮城県知事に対し、昭和二十七年八月十二日附で第三十四連隊司令部司令官グレン・A・フアリス大佐は静岡県知事に対しまして、売春問題に対し性病の責任を一方的に日本側に押付け、その対策の強化を双方協議の上で樹立することを指示し、なお、その手紙の中におきまして、極東軍最高司令官クラーク大将及び第二十四歩兵師団司令官スミス将軍が、深く個人的関心を寄せ、積極的処置を示唆いたしておる旨を伝え、「師団予防医、民事部代表、県渉外部、公衆衛生、予防各課長、国警代表等が集まつて調査的会合を持ち、積極的手段によつて」云々と、その手紙はなお最後におきまして、本件に対して最大の援助を信じてくれと結んでおるのでございます。これが単なる個人的手紙で、果して強制力を持たないで、自由なものかどうかは、言うまでもなく明かなことでありまして、その結果、驚くべき方針がとられて国内法規は無残にも無視されて打ち破られておるのでございます。即ち、接客婦と売春常習者に対しましては、二色の、白色と青色の写真貼付の「健康の栞」という売春パスポートが発行されまして……(実物を示す)このようなパスポートが発行されておるのでございます。(「誰が出したのだ」と呼ぶ者あり)或いは又、米軍の協力の結果、このようなパスポートが発行され、而もその業者の家の軒下におきましては、こういう英文と和文による「健康の家」なるものの表示が貼付され、而もそれには、性病の検診が終つておる旨、A子、B子等の女性の名前が明示されておりますることは、明かに人権躁躙であり、国内法無視と言わざるを得ないのでございまするが、(「その通り」と呼ぶ者あり)これらに対しまして、或いは行政協定等によつて何らかの申合せをされたのか、(「閣僚諸公よく聞け」と呼ぶ者あり)これらにつきまして、米軍当局と地方長官の協議で行われておることに対し、政府は如何に考え、処置をされるかを伺いたいのでございます。それとも表面に現われていない秘密協定でもあるのか、はつきりした御答弁が伺いたいと思います。殊に、行政協定事項ならば、検診等に要する莫大な費用の点でも助かるのでございますが、表面我れ関せず、裏面において弱い者をいじめるようなこれらのやり方は、実に非道と言うべく、たださえ不足の県財政はいよいよ苦しく、基地のある地方自治体の苦しみは実に大なるものがあるのであります。米国は他国においてもかかる行為をされているのでしようか。米国会の答弁では、日本が売春国であり、我れ関せずと声明し、而もフランス進駐当時の態度と併せ考えるとき、日本に対しての侮辱として実に堪えがたい。これでも植民地でないと言い切れるのでございましようか。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)日本にも関係法規はあるはずでございます。七つの法規がある。都道府県古町村の四十一の条例があります。これら日本の法律は、如何に守られ、如何に適用されておるかを、はつきり伺わなければなりません。
 今日、独立の日本といたしまして、その独立と安全を守るために駐留しておるはずの米軍が一日八件以上の暴行事件を起し、なお漸増の傾向である、検察当局は言つておるのでございます。国内法規を無視して、基地設定で、農地、海岸等の接収、生活権は脅かされ、学校も病院もその所在を無視され、学童の勉学も病者の療養もできず、時に病院に演習用の弾丸が飛び込んだり、多くは生活難と自暴自棄から転落し、米兵の獣慾の餌食となる哀れな日本娘は、その上、混血児を抱えて一層転落の途を辿つておるのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)日本娘が病毒をうつすという抗議を受けることを聞くが、一体、佐世保菌というがごとき従来日本に絶対なかつた病菌は、どこの誰がどこから運んでくれたのでございましようか。かかる世相において、道義の高揚が修身科の復活など生やさしいことで実現するほど甘いものではないと信ずるが、大臣の御所見は如何でございますか。青年、子供を、家庭の純潔を守るために、政府は如何なる売春対策を実行される用意ありや。それから、国連加入が問題となつているとき、若し加入したとして、第二百六十四回国連総会決定事項に対しどのように対処されるか。米兵に対する売春問題はどう解決されるかを伺いたいのでございます。
 我々が日本の娘と青年の上を案ずると同じように、アメリカの母も又遠く息子の上を気遣つていることと思う。アメリカ軍当局は、仏国進駐のときと同様、真に青年を母に代つて守るべく軍紀の励行を望みたい。どうしてもそれができないならば、日本の女性をこれ以上蹂躙することなく、この際、本国から対象となるべき必要数の女性を呼び寄せて、自国の女性によつて性の解決をされるよう切に要望したいのであります。(拍手)敗戦国とは言え、独立国の女性をいつまでも「おもちや」にしていては、紳士の国の体面にもかかわることでございましよう。外相のこれに対する御所見を伺いたいと存じます。
 一面、日本におきまして女性転落の原因も多くあるが、生活難と自暴自棄が特に多いと思う。女子労働者の低賃金、手内職に対する中間搾取による余りにも過少な収入等々も挙げられると思いますが、転落婦人の保護更生施設と併せ、これについて労働問題等も十分考えられなければならないと思いますが、労働大臣は如何にお考えでございましようか。
 なお、米軍基地、保安隊用地として、狭隘な領土が、食糧難の耕地が有無を言わさず取上げられているとき、前述の司令官の命令と見る手紙によつて生れた協議会対策要綱中には、県の部局長は申すに及ばず、教育長や県会議員、又国会議会までが顧問として名を連ね、業者のために土地の斡旋、業者の誘致に協力する旨等が規定され、歓楽街設置業者の家屋建築のために、農業委員会の議も経ずに耕地はどんどん潰され、供出米の割当に対しましては闇米を買つて納めているという実情でございますが、これらに対して農林大臣は如何なる見解の下に如何なる処置をとられているかを伺いたい。
 以上の点につき適切なる対策を今にしてとらざる限り、国民はますます萎縮するか、又は自暴自棄となり、いよいよ道義はすたれ、必然的に反米的にならざるを得ないと思う。日本の法律は厳然として日本人の手で守る。アメリカは又、言うごとく民主主義の国、自由の国として、世界人権宣言を実践されてこそ、真に世界平和は実現されると信ずるものでございます。
 私は、以上、心からこれを念じつつ、責任ある御答弁を期待いたしまして質問を終りたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕

http://kokkai.ndl.go.jp/

http://tech.heteml.jp/2007/03/2_2.html
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by thinkpod | 2007-03-11 03:09


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