2006年 10月 28日

北朝鮮への制裁の一環として「送金停止」に踏み切った中国

   でも本当の狙いは「制裁」ではなく、「人民元経済圏」に組み込むのが狙い
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 日本の新聞を読んでいると、まるで中国が北朝鮮を制裁しているかのごとき、である。
 弊紙1600号で伝えたように、中国の対北朝鮮制裁はジェスチャー、現場では制裁前となんら変わりない交易、貿易、交流風景が展開されている。

 吉林省南坪ではトラックが対岸の茂山鉱山とのあいだを、いつものようにコンボイを組んで往復し、丹東の荷物検査は好い加減であり、長白山、図門の国境も人の出入りは変わらず、そもそも石油輸送のパイプラインは停止されていない。

 「送金停止」?
 ドル送金だけで、人民元は自在である。

 要するに中国の狙いは、この機に乗じて、北朝鮮を「人民元経済圏」に組み込むことであり、制裁は口実にすぎない。以前にも紹介したと思うが、中国人は(公然と文章化してはいないが)、最近、「東北四省」という呼び方をする。

 つまり黒龍江省、吉林省、遼寧省が「東北三省」(旧満州)。これに北朝鮮を勝手にくわえて、「東北四省」。貿易港、鉱山、石炭鉱区を買い取った中国にとっては、すでに北朝鮮は「中国の」“経済植民地”という潜在意識であり、どうして、この地域の発展をさまたげるような制裁に手を貸すであろうか?

 (やっぱり日本の国際情勢の舞台裏を読む力は弱いですねぇ。ま、周辺は平和を希求する国ばかりであると教唆した、連合国原作の“ヘイワ憲法”をまだ墨守しようとしている国ですから、謀略は存在しない、という基本認識なのでしょうか)。
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(読者の声1)防衛庁防衛研究所主任研究官・武貞秀士氏は北朝鮮による核実験を予想していた数少ない識者ですが、彼の分析によると北朝鮮は北主導で南北朝鮮を統一するという政策目標に向かって行動しており、その目標に照らして現在は格好の時期であると見なしている。
具体的には、
 ●韓国に親北朝鮮の政権がある
 ●韓国の世論の大勢も親北朝鮮である
 ●中国は欧米に向けては北朝鮮に強硬な姿勢を示しても実態としては融和措置を続ける
 ●アメリカは韓国から手を引きつつあるし、韓国の政権も、それを促進させている
 ●アメリカにとってはイランのほうが重要で、核兵器を拡散しない限り北朝鮮の核武装を黙認する可能性が高い。
 ●アメリカでは次の政権が北朝鮮融和的な民主党政権になる可能性が高い。ブッシュ政権とは2カ国間交渉ができる余地はないので、できるだけ時間稼ぎをして、その間に核兵器と長距離弾道ミサイルを完成させる。そうして北主導で南北統一をする際に、アメリカ軍の介入を抑止する。
以上のように分析されています。
日本人にはにわかには信じられない話ですが、韓国の政権は確かに北朝鮮に国ごと売りかねない勢いで様々な政策を実行したり、しなければならないことをサボタージュしています。
日本も戦前、民主主義の体制でしたが、ナショナリズムのほうに価値をおいて実質的に民主主義を放棄しました。韓国も同じような過ちに進む可能性があるように思います。
中国は北朝鮮制裁に踏み切ったように日本からは見えます。
しかし実態としては北朝鮮に対して外貨送金は禁止したが人民元での送金は禁止していないとか、国境で検査はしているが取り締まりはしないとか、世間を欺いているだけの可能性も高そうです。
こうした武貞さんの分析についてどうお考えになりますか?
  (A生、東京)


(宮崎正弘のコメント)断片的な回答になりますが、武貞氏の分析はとても客観的で、イイ線をいっているな、と何時も感心しております。
二十年近く前、韓国でのセミナーで小生と高坂正堯先生、黒田勝弘特派員らが講演したおりに当時駐韓大使館勤務だった氏も参加されていて、ソウルの会場で初めてお目にかかりました。
 とくに次の米国政権は民主党に転ぶ可能性が高く、あと二年間時間稼ぎをすれば良いと考えているのが金正日でしょうし、これに呼応する韓国の左翼政権も、親米路線の野党を封じ込めて、北の核保有を拡大したい、と考えている。なぜなら「北の核」は統一後、日本向けに使えるからです。これが韓国国民の大半の潜在的欲求です。
 とはいえ、シナリオはシナリオであって、どういう展開になるかを予測することは、それに対応するシナリオをつねに用意するのが国家であり、この対応策がきわめて杜撰な日本の惨状のほうが、より深刻でしょう。
 中国の制裁ジェスチャーに関しては1600号(27日付け)小誌でもすでに分析済みですし、後者の送金停止のホンネはこの号の冒頭に書いたとおりです。

http://www.melma.com/backnumber_45206_3404179/


平成18年(2006年)10月27日(金曜日) 
通巻第1600号

北朝鮮制裁は中国の裏切りで早くも「ザル法」
 鉄鉱石を運ぶトラックが45台、毎日、吉林省南坪と茂山鉱山を行き来している
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 ヘラルド・トリビューンが現場の写真をすっぱ抜いている(10月25日付け、16面)。

 北朝鮮北部の茂山鉱山は鉄鉱石の宝庫、日本時代から開発は進んでいた。
 鉄鋼需要が著しい中国は鉄鉱石の輸入を豪州やブラジルの他に、この北朝鮮鉱区にも依存し、大量の鉄鉱石を輸入している。

 40噸トラックが毎日45台、吉林省南坪(図面江に添って延吉の南南西およそ50キロ、和龍市南坪鎮に位置する)から向かい側10キロの茂山鉱山との間を往復している。
 日量にして1800噸!

 国連の北朝鮮制裁決議に同調した「そぶり」を見せて、中国は巧妙な二枚舌外交を展開し、実質的制裁をしていない。
「荷物検査を強化している」と中国は言う。
 ところが『タイム』(10月30日付け)は鴨緑江に面した丹東市へ飛んで検査現場を取材した結果、「検査は体裁だけ強化されたかにみえ、事実上は(西側への)ショーにすぎない」とのルポを掲げている。
 [inspections are a little stricter、but it’s really just for show]と。

 中国の鉄鉱石輸入は昨年二億七千五百万噸と前年比32%もの急増を示した。
 98年比で北朝鮮と中国との貿易は三倍となり金額にして44億ドル。北朝鮮からの輸出の三分の二が、この鉄鉱石と石炭によるのである。
 
 とくに茂山鉱山からの鉄鉱石は3500万ドルの外貨を北朝鮮にもたらしており、オリンピックと不動産建設ブームに湧く華北の鉄鋼製品の需要を満たしている。

 南坪には真新しい三階建ての税関が完成。
ここで毎日トラックの積み荷を検査しているが、取り扱いは国有企業の「延辺天地工業貿易」が一手に引き受け、ここで製錬され吉林省の「東風製鉄」などに売却される。
同社が茂山鉱区の開発権(三十年から五十年といわれる)を五億ドルで買ったのだ。
 しかも東風製鉄は2007年度に現在の二倍、550万噸の生産拡大を目指しており、制裁なんぞどこ吹く風である。

 「金正日体制の存続は中朝国境貿易にかかっており、なぜ中国が北朝鮮制裁を嫌がるかは現場をみれば判る」とタイムは続けて言う。
 「日量原油の90%と食糧の半分を中国に依存している北朝鮮だけに中国が制裁を厳格に実施すれば崩壊は明らか。だが国境を越えて流れ込む難民を恐れ、また繁栄する人口240万の丹東市民も、現状維持をのぞんでいるからだ」。

 米国、日本、露西亜、韓国が国連制裁を支持し、経済制裁をつよめるなか、中国はジェスチャーとしての送金停止措置などで繕ったが、「南坪通関で目撃する限り、制裁前となんらの変化もない」(同ヘラルド紙、24日付け)。

 ま、そんなことだろうと想像はしておりましたが。。。

http://www.melma.com/backnumber_45206_3402067/



北朝鮮核実験後、中国から北朝鮮に、毎日四千トンの貨物を輸送

 【大紀元日本10月17日】国際社会の反対を顧みずに核実験を行った北朝鮮に、中共当局は、強い反応を示しているが、制裁を実施していない。中国から北朝鮮に、未だに毎日4000トン近くの貨物が輸送されており、その貨物にはあらゆる物が含まれているという。

 香港“文匯報”の報道によると、北朝鮮が労働党成立61周年の祝賀会を終えた11日、遼寧省丹東と北朝鮮との間を行き来する貨物車の流れが、再び活発になった。11日午前9時20分より、北朝鮮から丹東へ向かう車が相次いで現れ、車両の数は午前10時前後にピークに達した。車列は、通関から橋まで列をなしており、10時40分までに、合計で90台余りの2、30トン車が港を通過していった。

 当地運輸会社の責任者の話によると、現在、毎日170台余りの中国側車両が丹東市の国境を越えており、朝鮮側の車両も7、80台ある。朝鮮側からやってくる車は、基本的には全て中身が空であるが、車内に鉱産物、漢方薬の材料等を積んでいるものもある。一方、中国側車両の搭載貨物には全てが揃っており、果物、建材、プラスチック製品、ペンキ、電器、パン、ビスケット、大豆油、食料等、あらゆる物が含まれていた。

 この責任者の指摘によると、各車両に平均で25トンの貨物が搭載されているとして計算すると、毎日中国から北朝鮮に輸送される貨物の量は、4000トン近くになるという。

大紀元時報−日本
http://jp.epochtimes.com/jp/2006/10/html/d86825.html



「イラク石油利権と中国」
                    宮崎正弘
  

 世界に石油鉱区獲得に狂奔する中国だが、米国の苦戦を尻目にイラク北部のクルド自治区でも石油利権を確保した。
 スーダン、ベネズエラ、イランといった、米国が目の色をかえて警戒する重要拠点に対して中国は武器供与と交換で石油利権を片っ端から獲得してきた。
 要するに中国は世界石油市場における不安定要因、すなわち軍事のみならず経済的にも”脅威”である。
 昨今、石油価格は50ドル台に下降したとは言え、サウジは原産体制に入っており、中国の乱獲と爆発的消費により石油代金はまたまた一バーレル=80ドル台を窺うかも知れない。
 表向き、イラクと北朝鮮問題で、ブッシュ政権は北京を持ち上げ「戦略的パートナー」などと褒めそやしているが、他方、中国はその期待を裏切るかのように米国の世界戦略の要を、石油絡みの経済的側面から奇襲しているわけで米国の猜疑心はますます強まっている。
 米国が後ろ盾の新生イラクは、クルド、スンニ、シーアの三つ巴で泥沼化したままだが、クルド自治区が準独立国家となっていることは既成事実である。
 だからこそリアリスティックな計算を得意とする中国は電光石火の早業でクルド族に接近し、多くの利権を獲得したのだ。
 クルド自治区の最高幹部タラバニ議長が北京を訪問したのは2003年8月だった。 
 タラバニ「クルド愛国連盟」議長は、その後、イラク大統領になった。
 つづいて中国はタラバニのライバルでもある「クルド民主党」に急接近しマスード・バルザニ党首とも友好関係を結んだ。
「クルドの言いしれぬ過去の艱難に同情し、今後の“イラク連邦”の再建は重要である」とした北京のリップサービスに対して、バルザニは、「クルドスタンとして独立することに中国が前向きの努力をかたむけることを望みたい」と発言している(05年五月16日)。
 これまで中国は「独立分子」を「分離主義者」として一括して批判しつつ、過去にクルド族の独立に一貫して反対してきた。
もし少数民族の分離独立を認めると、中国は台湾問題ばかりか、チベット、ウィグル、蒙古族の独立を弾圧してきた過去の政策に整合性を失い、外交原則の基盤を自ら崩しかねない。
 それが分離独立運動の親玉をニコニコ薄ら笑いを浮かべながら受け入れたのだから矛盾も甚だしいのである。
「クルドの主張を尊重し、自治は保護されるべきである」と言いだしクルドのナショナリズムを前向きに評価し始めた。
 これまでのアジアアフリカ運動の主導権をとってきた中国は口を開けば「民族自決」を標榜してきてはいたが、クルド族幹部には「地域の安定が重要である」と都合の良い口上を付け加えたのである。
 この露骨すぎる変心の理由は極めて簡単かつ明瞭である。
 石油利権が目の前にあるからだ。
 中国はクルド独立の闘いを真剣に理解したり、同情を寄せたりした証拠は、これまで一度もなかった。
 1966年のクルドの叛乱を中国はバグダッドへの独立の闘いと言ってのけ、イラク政府との間が冷却した。ところが1975年の叛乱では一転してバグダッドについた。理由はサダムのイラクが膨大な中国製武器を買ってくれる巨大マーケット、フセイン前大統領は大事な顧客だったからだ。
 サダム・フセイン独裁政権は嘗てクルド族自治区の叛乱に手を焼いて、毒ガスをドラム缶ごと、当該居住区に空から投下し、五千人を殺した。
この残虐行為は世界中からの非難を浴びた。
トルコも、クルド族との長年に亘るゲリラ戦争に手こずり、国内クルドを弾圧してきた。シリア、イランしかり。
 クルドは世界中に散らばる。トルコに1450万人、イランに460万人、イラクに430万人。そしてシリアに100万人。そのほかを加算すると世界中で2300万ものクルド族が居て(ユダヤ人より多い)、しかも自分の国がないのだ。
サラディンはクルド族出身で、アラビア大帝国を築いた。クルド族は誇り高く勇猛果敢な砂漠の民である。
 しかもイラク北方、クルド自治区は91年の湾岸戦争以来、事実上の独立を達成しており、いまや石油開発は自治区の権限である。
この高原砂漠地帯にイラク石油の半分近く、およそ1300億バーレルが眠る。
第二の理由はトルコへの牽制である。
 トルコ国内にはウィグル独立を唱える分離独立グループが十数、アンカラやイスタンブールに本部を置いている。
かれらの代表は昨年、ワシントンに集合してウィグル独立憲法を制定している。
 ウィグル独立を目指すイスラム教徒過激派のなかには中国国内でいくつかのテロをおこない、北京を震え上がらせたグループもある。
 ウィグル人の悲願である「東トルキスタン独立」(現在の新彊ウィグル自治区)を武力で封じ込める北京は、血の弾圧をつよめる一方で後方支援ルートの根源がトルコ国内の独立派諸団体にあると見ており、トルコとの外交には激甚なすきま風が吹いている。
従前はクルド弾圧のための武器を当該諸国に輸出してきたのも中国だったが、それはそれ、これはこれ。外交原則なるものは朝令暮改の国であるだけにトップの鶴の一声で、いかようにも変わるのだ。
 2000年四月にアンカラを訪問した江沢民主席(当時)は、
「中国とトルコ両国は領内に互いに分離主義者を抱え、安定を欠いているが、国家の統一、テロリストとの闘いは共通している」と発言してアンカラ政府に牽制球をなげた。
 イラク北方クルド自治区の北部、山岳地帯を支配するのはバルザニ率いるクルド民主党である。この領域で04年にノルウェイのDNO社と発掘リグの試掘契約に同意しており、その発掘リグ操業の下請け企業は「長城発掘石油公司」(中国のコングロマリット)だ。僅か90日間で6000メートルの地下まで試掘できるリグを当該地域に建てた。
 またアルアダブ開発地区では、すでに中国のCNPCとノリンコ(中国北方工業集団)が一日8万バーレル、22年もの長期契約を12億ドル余で締結済みである。
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by thinkpod | 2006-10-28 06:37 | 中国


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