2006年 08月 15日

 朝日新聞紙面における映画「プライド」に関する記事

 掲載日:1998年01月27日 夕刊 

 ■違和感超え、東京裁判を映画化 「プライド 運命の瞬間」  

 第二次世界大戦の戦犯として絞首刑となった東條英機が主役の映画「プライ
ド 運命の瞬間」の撮影が進んでいる。東映の京都撮影所に極東国際軍事裁判
(東京裁判)の実物大のオープンセットを作り、「この裁判で最もよく戦った
日本人」として東條を描いていくという。監督・主演とも「戦後民主主義で
育ったこともあり、当初、違和感があった」と語る企画だ。

 伊藤俊也監督に企画が持ち込まれた当初、主人公は、戦犯の無罪を主張した
インドのパール判事だった。しかし「東京裁判を舞台にした日本映画なら、主
役は日本人でなければ」と考え、企画を練り直したという。

 「日記や裁判記録などを調べ直すうちに、少なくとも東京裁判に限って言え
ば、死刑になることを運命付けられた中で、最もよく戦ったのは東條だったと
思うようになった。東條は軍国主義を体現したイメージがどうしても強かった
が、それでも主役は彼以外にありえないと思った」 東條を演じるのは伊藤監
督と同世代の津川雅彦。役になりきるために髪の毛をそった。

 「見る人がいかに東條に感情移入できるかが肝心。役者として真に試されて
いる。五十八年の生涯で最も身震いのする、一番といっていいほどやりがいの
ある役」と意欲満々だ。

 三月中に撮影を終え、五月に全国公開を予定している。

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 掲載日:1998年04月10日 夕刊

 ■製作者側労組「シナリオ問題」と批判 東条英機描く映画「プライド」

 第二次大戦で日本の戦争責任を問われて絞首刑となった東条英機元首相が
主役の映画「プライド 運命の瞬間」(伊藤俊也監督)が、五月の全国公開を
前に、製作者側の労組から「シナリオに問題がありすぎる」と批判を浴びてい
る。

 「プライド」は総製作費十五億円。住宅販売の東日本ハウス(本社・盛岡
市)の創立三十周年記念事業として、同社の元役員が社長を務める東京映像制
作が八割以上を出資。残りは東映が負担した。津川雅彦さんが東条を演じてい
る。

 映画は昨年十二月から三月にかけて東映の京都撮影所などで撮影され、五月
二十三日から全国東映系で公開される予定。シナリオでは、南京事件について
東条が「国家の意志として無差別な虐殺を命じたことなどあろうはずもない」
などと発言している。

 こうした内容を、全東映労連が加入する映演総連の杉崎光俊委員長は「創造
の自由は認めるが、戦争に対する見方が偏り過ぎている。シナリオ通りの映画
ができあがるとしたら問題だ」と批判。「批判する会」を二十日午後六時四十
五分から、東京都文京区の文教区民センターで発足させる予定だ。 

 映画のプロデューサーである東映の佐藤雅夫取締役企画部長は「東京裁判の
記録を参考にしながら、東条が裁判でどう戦ったかを描いた。シナリオの言葉
が即、映画の主張というわけではない。映画を見てドラマを感じ取ってもらい
たい」と話している。

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 掲載日:1998年04月30日 朝刊 

 ■「映画『プライド』は戦争美化」 市民団体が公開抗議 /岩手

 第二次世界大戦後の東京裁判で戦争責任を問われ、絞首刑になった東条英
機元首相を描いた映画「プライド 運命の瞬間」(五月二十三日から全国東映
系で公開)に対し、県内の二つの市民団体が、「戦争を美化、侵略戦争を免
罪、歴史をわい曲している」と、公開に抗議する声明を発表した。映画は東日
本ハウス(本社・盛岡市)の創立三十周年記念作品で、市民団体は声明の賛同
者を募り、公開前に東映と東日本ハウスに公開中止を要望する。

 声明を発表したのは、いわて労連などで作る県革新懇(渥美健三代表)と、
教員や教員OBらで作る県歴史教育者協議会(宮手毅会長)。

 声明は「プライド」について、

 (1)東条が「大東亜戦争は自衛戦争」と主張して「日本の名誉」を守った
と称揚されている     
 (2)東条の言葉として南京大虐殺を否定している
 (3)日本の戦争をアジア解放の戦争のように印象づけている

——と指摘し、「歴史のわい曲、偽造にほかならない」としている。記者会見
で宮手会長は「戦争への反省、謝罪なしにプライドを持つとは、どういうこと
か」と述べた。

 これに対し、東映は「戦後日本の原点とも言うべき東京裁判を真摯(しん
し)に描いた人間ドラマ。作品の正否は観客の判断にゆだねたい」としてい
る。

 「プライド」は総製作費十五億円。東日本ハウス元役員が社長を務める東京
映像制作と東映が出資している。

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 掲載日:1998年05月11日 夕刊

 ■東条主役に東京裁判描く 映画「プライド 運命の瞬間」公開(見る)

 第二次世界大戦で日本の戦争責任を問われて死刑となった東条英機が主役
の映画「プライド 運命の瞬間」が完成した。二十三日から東映系で全国公開
される。南京虐殺事件を東条が否定する内容に東映の労組などが反発して集会
を開いたのをはじめ、上映前から波乱ぶくみの問題作だ。
                             (秋山亮太)

 映画は終戦後、東条が極東国際軍事裁判(東京裁判)で死刑判決を受け、執
行されるまでを描く。裁判での東条の証言や行動を丹念に追っているのが特徴
だ。

 今年一月、京都撮影所での撮影現場を見た。法廷のオープンセットは原寸大
で、リアルだった。髪の毛をそって東条役にのぞんだ津川雅彦が熱演してい
た。
 映画中盤で、検察側証人が日本軍の南京虐殺を証言する。バルコニーから見
た一件以外は伝聞証拠であることがわかる。その後の接見室で東条が弁護士に
かみつく。
 「国家の意志として無差別な虐殺を命じたことなどあろうはずもない」「見
境なく手当たり次第に殺しまくったなどと、だれが信じられよう」
 このくだりに、最も労組が反発した。

 全東映労連の高橋邦夫副執行委員長は「映画を作った意図があからさま過ぎ
る。これまでの歴史的経緯を無視して、戦争責任を免罪している」と非難す
る。

 これに対し、脚本を共同執筆した伊藤俊也監督は「私自身は、虐殺は『おそ
らくあったろうな』と思っています。ただ、映画は登場人物に語らせるしかな
い。虐殺が『まぼろし』とは思わないが、東条なら『信じられない』と言うは
ずです」と話す。

 作品の企画を東映に持ち込んだのは、住宅販売の東日本ハウス(本社・盛岡
市)。同社の中村功前会長は、教科書の従軍慰安婦の記述に疑問を投げかけて
いる「漁火会」の生みの親でもある。東日本ハウスの元役員が社長を務める東
京映像制作が製作費十五億円の八割以上を出資した。

 東京映像制作は当初、東京裁判で無罪を主張したインドのパール判事が主役
の映画を期待していた。南京事件には触れなくて構わないということになって
いた、という。
 そこを踏み越えたのは東映側だ。 伊藤監督は「ハリウッドがガンジーを主
役にすることはあっても、日本映画がパールを主役にすることは難しい。そこ
で資料を洗い直したら、東京裁判を最もよく闘ったのは東条ということがわ
かったんです」と力説する。
 東条を主役にしたために、南京事件に対する監督の認識に反してまでも、ド
ラマとしての必然を優先せざるをえないところに苦渋がにじむ。
 巨額な製作費だけでなく、東京映像制作は前売り券を九十万枚引き受けた。

 東映は昨年、「幸福の科学」が製作したアニメ映画「ヘルメス 愛は風の如
く」を配給した。映画業界に詳しい関係者によると、「幸福の科学」が約百万
枚の前売り券を引き受けた。今年の作品では、「蓮如物語」を製作した真宗大
谷派(東本願寺)が、やはり五十万枚前後の前売り券をさばいている。

 映画ジャーナリストの大高宏雄さんは、こう解説する。
 「企業が前売り券を大量に買うという手法はバブル経済の一九九〇年ごろが
ピークでした。その後の不況で企業が離れていったんですが、宗教団体や政治
的なバックグラウンドがある資金力のある団体がスポンサーとして残ったんで
す。その仕組みに最も乗っかっているのが東映です」 「プライド」はプロ
デューサーの当初の計画を大幅に超えて、二時間四十一分の長編になった。出
資者が主役に望んだパール判事の人物像やインド独立の場面にも多くのフィル
ムが費やされている。そのことがかえって、あえて東条を主役にした「野心
作」のドラマとしてのテンポを損なってしまっている。 

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 掲載日:1998年05月19日 朝刊

 ■海外からも批判の声続々 映画「プライド 運命の瞬間」

 第二次大戦後の極東国際軍事裁判(東京裁判)でA級戦犯として死刑に
なった東条英機が主役の映画「プライド 運命の瞬間(とき)」の上映を前
に、国内外から批判が相次いでいる。東映の労組などは「映画『プライド』を
批判する会」を結成した。一方、映画を支援する団体もでき、論争を広げてい
る。

 「批判する会」が十八日開いた会見によると、全東映労連は昨年秋、脚本で
内容を知った。「戦争を肯定し、最高責任者の東条を美化する映画だ」と反発
して四月二十日、映画演劇労働組合総連合(映演総連)を中心に「批判する
会」を結成。今月十五日、東映に公開中止を申し入れた。
 「批判する会」の会見には、外国の報道機関が詰めかけた。

 中国外務省は九日、「東条賛美の内容に衝撃と憤りを覚える」と述べ、人民
日報は「戦犯美化は許さない。映画は日本の右傾思潮拡大の産物」と批判。米
国ロサンゼルス・タイムスも十二日付で「米国人の反日感情をあおる映画だ」
と論評している。
 韓国日報は四月二十二日付で「侵略戦争美化の映画」と紹介。朝鮮日報も五
月十三日付で「戦犯東条を英雄視し、映画で歴史をわい曲」と非難している。

 ○戦争を美化、史実と違う

 映画評論家で「映画『プライド』を批判する会」代表委員の山田和夫氏の話
あからさまな戦争美化の映画で、インド独立と太平洋戦争を強引に結びつけて
いる。「自衛戦争だった」という主張も説得力がない。一九四一年十二月八日
(真珠湾攻撃の日)にすべての戦争が始まったとすれば東条の「自衛戦争論」
も成り立ちうるが、日本はその前に、アジアに何百万人という軍隊を送ってい
る。南京虐殺についても、弁護側の反論だけが強調されている。個々の場面に
「事実」をちりばめながら、全体として史実とまったく違った映画になってい
る。

 ○闘った東条再評価した 伊藤俊也監督の話

 東京裁判は「日本を二度と対抗できない国にする」という米国の戦略から、
日本を断罪する目的の「継続された戦争」だったと思う。その裁判で、死刑が
予定されながら、最もよく闘った東条こそ、主役にふさわしい、と判断した。
 南京事件については、虐殺行為はやっぱりあったでしょう。だが、検察側証
人が数多くの殺人行為を証言した中で、目撃したのは一件だけだったという事
実もある。東条を、東京裁判という「戦争」を闘った男として再評価したが、
美化したとは思わない。  

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http://www2.nkansai.ne.jp/users/minoru2/yomoyama/ojisan/pride/asahi.html


Let's Blow! 毒吐き@てっく: 極東軍事裁判
http://tech.heteml.jp/2006/08/post_689.html
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by thinkpod | 2006-08-15 02:12


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