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2005年 11月 21日

中国が鉄道民営化へ 円借款6400億円 ODA原則に違反

 中国政府が二年以内に国有鉄道の株式を公開し、海外市場などで上場を目指す方針を固め、日本政府もこうした方針を把握していたことが十九日、分かった。中国の鉄道建設で日本は政府開発援助(ODA)として二〇〇〇年までの二十年間で計六千四百億円の公的資金を拠出しており、民営化されればODAの「個別企業には供与しない」という原則に違反するが、日本政府は事業内容の変更について、正式な連絡を受けていない。中国では今後も国営企業の民営化が続くことが予想され、ODA拠出金の使途について改めて論議を呼びそうだ。
 国際協力銀行が今月初旬、中国鉄道省に上場の事実を確認したところ、「英国式の上下分割方式の企業にするか、日本式の地域分割方式にするかといった改革案の基本枠をまとめている最中だ」として、民営化を検討していることを示唆した。
 また、外務省の有償資金協力課は「中国側から正式な連絡はない。情報収集をしている」としているが、同省幹部は「民営化となれば、中国政府にきちんとした説明を求めたい」と話している。
 中国鉄道省の資料などによると、二〇二〇年までに総延長十万キロの鉄道網の建設を計画しており、その資金調達のため民間と外国資本を導入することを決めている。分割民営化については、第一陣として貨物運輸部門の「中国鉄道コンテナ運輸」など三組織を企業化し、収益性の高い大秦(山西省大同市から河北省秦皇島市間)線など三路線についても、地域別に運営企業を設立すべきかどうかを検討している。
 しかし、国際協力銀行によると中国国有鉄道の建設資金は、日本政府が一九八〇年から二〇〇〇年までで、対中円借款総額の二割に当たる六千四百億円を拠出。電化された路線の約四割にあたる五千二百キロが日本の公的資金で作られ、大秦線建設にも約百八十四億円が投入されている。中国の鉄道建設に充てられた円借款の金利は2−3%、返済も三十年などと商業性資金と比べて贈与性が極めて高い。「上場しても資金の回収を求めることはない」(外務省幹部)としている。
 五年前に香港の株式市場に上場した北京国際空港も、日本が建設総費用の四分の一に当たる三百億円の円借款を供与したが、やはり上場について事前連絡はなかった。日本の抗議を受けて、中国財務省は陳謝したうえで、再発防止を約束していた。
 今回の鉄道会社の上場計画について、ODA関係者は「鉄道は軍事転用しないなどと中国政府と約束を交わしていた。だが、民営化で所有者が変われば、日本は意見をいえなくなる可能性がある」と指摘している。
(産経新聞) - 11月20日2時56分更新

by thinkpod | 2005-11-21 23:31 | 中国


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