2005年 11月 07日

皇室典範改正案 通常国会提出慎重論も

≪寛仁さま「発言」波紋広がり≫

 皇位継承資格者(継承順位五位)である寛仁親王殿下が、政府の「皇室典範に関する有識者会議」が打ち出した女性・女系天皇容認の方針に疑問を呈されたことが波紋を広げている。有識者会議の運営には、従来「当事者である皇族の意見を聴かないのか」「なぜ結論を急ぐのか」などの指摘があったが、寛仁さまの「発言」を受け、拙速を危ぶむ声が高まっている。有識者会議は七日に会合を開き、今月中にも最終報告をとりまとめる方針だが、来年の通常国会に皇室典範改正案提出をめざす政府のシナリオにほころびが生じる可能性もある。(阿比留瑠比) 

 寛仁さまが、会長を務める福祉団体の会報に書かれたコラムは、「プライベート(私的)に語る」という体裁をとりながらも有識者会議の論議に真っ向から「異議」を唱えたものといえる。


 有識者会議は発足時から、女性・女系天皇容認論者が複数いる半面、皇室制度の専門家がほとんどいないなどメンバー構成が偏っており、「はじめに女性・女系天皇容認の結論ありき」(研究者)といわれた。


 一方、皇族内に、男系継承を重視する意見があることも知られていたが、有識者会議の吉川弘之座長(元東大総長、ロボット工学専攻)は「(皇族方の)意見を聴く考えは全くない」「意見を聴くことは憲法に反する」などと発言。どの条文に反するか根拠は示さないで憲法違反だと主張し、意見聴取はしない考えを強調してきた。


 吉川氏は「聴いてはいけないという政府の判断だった」ともするが、小泉純一郎首相は記者団に「(意見聴取は)憲法違反ではないでしょう。どんな方の意見だって、個人が発言するのは自由だから」と否定している。


 また、新内閣では、安倍晋三官房長官がもともと女系天皇容認に慎重とされるほか、麻生太郎外相は寛仁さまと縁戚(えんせき)関係にあり、この問題では考え方が近いという。


 寛仁さまの意見表明について、政府内には「参考にはしないだろう。それが役人ってものだ」(首相周辺)との見方もあるが、「有識者会議の議論は、確かにハイペースで進みすぎている。皇室典範改正案の通常国会提出は見送った方がいいだろう」(高官)という慎重論も出始めている。


 男系継承維持派の民間有志でつくる「皇室典範問題研究会」代表の小堀桂一郎東大名誉教授は、「有識者会議は寛仁殿下のご意見を真剣に受け止め、結論を急ぐべきではない。皇族のご意見を聴かないというのは思い上がった態度であり、元皇族の皇籍復帰などをなぜ真剣に検討しないのか」と話している。


◇  福祉団体「柏朋会」の会報に掲載された寛仁親王殿下のエッセー「とどのおしゃべり−近況雑感」の要旨は次の通り。

 ・世界に類を見ないわが国固有の歴史と伝統を平成の御世でいとも簡単に変更してよいのかどうか。


 ・万世一系、百二十五代の天子様の皇統が貴重な理由は、神話の時代の初代神武天皇から連綿として一度の例外もなく、『男系』で今上陛下まで続いてきているという厳然たる事実です。


 ・皇室典範を改正し、(1)元皇族の皇籍復帰(2)女性皇族に養子を元皇族(男系)からとることができるよう定め、その方に皇位継承権を与える(3)元皇族に廃絶になった宮家の祭祀を継承していただき、再興する−などの方法を駆使してみることが先決だと思います。


【2005/11/07 東京朝刊から】

(11/07 08:35)
皇室典範改正案 通常国会提出慎重論も
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by thinkpod | 2005-11-07 17:54


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