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2005年 10月 22日

遺棄兵器処理事業 中国ペース不透明 政府 埋設数は下方修正へ

 政府は二十日、旧日本軍が中国に遺棄したとされる化学兵器の推定埋設数について、年内にも化学兵器禁止機関(OPCW、本部・ハーグ)に修正報告する方針を固めた。国会審議で問題化したためで、三年前の調査結果を踏まえ修正することにした。総額二千億円以上とされる中国での遺棄化学兵器処理事業は、財政事情が悪化する中、「中国ペースのどんぶり勘定」(自民党関係者)との批判がある。事業の透明性をいっそう高め、国民の理解を積極的に求めていく必要がありそうだ。(佐々木類、田中靖人)

 ◆業務に瑕疵

 「調査によってさまざまな状況も分かっているので、修正報告しようかと検討している」

 細田博之官房長官は二十日の記者会見で、化学兵器禁止条約(CWC)の履行を監視するOPCWに、約七十万発と申告していた化学兵器の推定埋設数を、三十万−四十万発と修正申告する考えを示した。

 「七十万発」という情報は、現在でも処理事業を統括する内閣府遺棄化学兵器処理担当室のホームページに掲載されている。担当室は産経新聞の取材に「更新しようと思っていたが、時間がなく直していなかった」と説明。細田長官がこの日、あっさり修正報告する考えを表明したことは、事実上、業務に瑕疵(かし)があったことを認めたものだ。

 外務省によると、CWCは遺棄された化学兵器を発見した場合、百八十日以内にOPCW事務局に申告するよう規定。中国では、六十七万発が埋められているとみられていた吉林省ハルバ嶺以外でも三万発以上が発見され、政府はその都度申告している。

 ◆ピンハネ疑惑

 「中国の作業者には平均で日当数十ドルを払っているが、本人に支払われるのは百三十円。中国側はきちんと説明していない」

 今年七月一日、参院外交防衛委員会で自民党の山谷えり子氏は、日本と共同で調査活動に携わる中国政府や人民解放軍関係者による“ピンハネ”疑惑を追及した。

 外務省は中国側に経費の透明性を求めているとしたが、中国側からピンハネ疑惑を払拭(ふっしょく)するだけの回答があったとは認めていない。町村信孝外相は「向こうからドンと請求があって、それを全部払うというようなことをやっているわけではない」と釈明している。

 そもそも遺棄化学兵器処理事業は、日本が平成七年九月に批准し、九年四月に発効したCWCに基づいて行われている。

 政府は平成三年から十四年にかけ、計二十一回の現地調査を行い、黒龍江省や吉林省など北東部や、江蘇省などの広範囲にわたって埋設されていることを確認。十五年四月の日中政府間協議では、遺棄化学兵器を燃焼処理することなどを決めた。

 一方、国内では、政府内部の資料によると、内閣府が十三−十五年度にかけ、都内の企業体などと化学処理実験費など数十億円規模の随意契約を締結。随意契約の理由を問う野党議員の質問主意書に対し、政府答弁書は「化学兵器処理には世界に前例のない知見・技術が必要。委託先の変更は困難」などとしている。

 ◆巨額の負担

 CWCは化学兵器の使用や開発、製造や貯蔵を禁止する条約だが、中国の強い希望で遺棄化学兵器の「廃棄条項」(第一条三項)を明記。中国で武装解除された旧日本軍の残留兵器以外は世界で遺棄の例はなく、事実上「日本専用条項」となっている。

 これに加えて、十一年七月三十日に締結した日中の「中国における日本の遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書」では、日本が処理費用をすべて負担するだけでなく、将来の事故も日本が補償するようにしてしまった。

 結果として、外交上のつけを巨額の財政負担という形で押し付けられるのは国民だけに、覚書については「中国の言い分をほとんど受け入れてしまった」(自民党筋)との酷評がつきまとう。

 CWCには、相手国の同意がないまま遺棄した場合、遺棄した国が化学兵器を処理する義務規定がある。だが、旧日本軍の場合は多くが武装解除とみられ、同意があったかないかは「中国側が立証すべき」(山谷氏)だという学問上の疑問点を指摘する声もある。

                  ◇

 化学兵器禁止条約 化学兵器の開発、生産、保有を禁止し、米国やロシアなどが保有する化学兵器を原則10年(最長15年)以内に全廃することを定めた。1997年発効。締約国は167カ国(平成17年3月現在)。化学兵器禁止機関(OPCW)が条約の履行を監視。締約国は他国に遺棄した化学兵器の廃棄義務を負う(1条3項)。処理費用は遺棄国が負担する。
sankei 平成17(2005)年10月21日[金]
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by thinkpod | 2005-10-22 15:21 | 政治経済


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