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2005年 10月 12日

「人権救済条例」が成立 鳥取県、来年6月に施行 都道府県で初

 人種差別など人権侵害からの救済や予防を掲げた「人権侵害救済推進及び手続に関する条例」(人権救済条例)が十二日、鳥取県議会で可決、成立した。全般的な人権侵害救済で条例が制定されるのは全国で初めて。平成二十二年三月までの時限条例として、来年六月に施行される。

 政府が再提案をめざしている「人権擁護法案」の地方版ともいえ、差別や虐待など八項目を人権侵害の行為と規定。被害からの救済や予防を、同条例に基づいて設置される「人権侵害救済推進委員会」に申し立てることができる。委員会は人権問題などに見識のある五人で構成され、加害者に是正勧告し従わない場合は事実や氏名を公表。さらに、委員会の調査への協力を正当な理由なく拒んだ場合は罰則(五万円以下の過料)が規定されている。

 ただ、行政機関については、犯罪の予防、捜査などに支障があると当該機関のトップが判断すれば、協力を拒否できることになっている。

 県弁護士会は「氏名の公表は刑事罰に匹敵する制裁となる可能性があるにもかかわらず、申立人に対する反対尋問も保障されていない」と不備を指摘。

 「調査に協力しない当事者への罰則は、供述や自白が強制されないという刑事事件の容疑者にも認められている権利の否定で、憲法違反の恐れがある」などと批判している。

 条例案は県議三十八人のうち三十五人が共同提案したが、「拙速」「人権侵害の定義があいまい」など反対の声も多いため、この日の本会議は対応の協議などで開会が遅れる一幕もあった。

 条例をめぐっては、片山善博知事が「地方ごとに人権擁護機関を作った方が、きめ細かい判断が下せる」として検討が始まり、昨年の十二月議会に県が条例案を提出。さらにこれを修正する形の条例案が議員提出され、さらに継続審議となっていた。

≪都合のいい条例≫

 ■服部孝章・立教大教授(メディア法)の話 「人権侵害は行政機関によっても起こり得るのに、調査協力を拒否できる都合のいい条例だ。犯罪捜査の対象となるケースは除外しているが、違法捜査による人権侵害はどうするのか。美名の下の『人権救済回避条例』といえる。調査に膨大な時間がかかるのに、非常勤委員五人と事務局だけというのは物理的にも無理だ」

≪運用に議論必要≫

 ■棟居快行・北海道大教授(憲法学)の話 「人権侵害は日常生活の中で起こる。国でなく、身近な自治体が人権を擁護する条例をつくったことは評価できる。ただ重大な人権侵害の場合、啓発や指導の手続きを飛ばし、勧告という強い措置をとるのは問題。逆に人権侵害を引き起こしたり、表現の自由を委縮させたりする危険もある。運用面はさらに議論すべきだ」

≪人権侵害の規定あいまい≫

 鳥取県の人権侵害救済条例は、人権侵害そのものの規定があいまいで、恣意(しい)的な運用によって、逆に行政権力による人権侵害も起こりうる可能性がある。

 今回の条例は議員提案されたが、「原案」は県が昨年十二月に県議会に提出した条例案。片山善博知事が平成十四年に、地方レベルの人権擁護機関の必要性を認めたことから策定された。片山知事自身も「取りあえずやってみて、問題はそのつど解決すればいい」と述べており、“制定ありき”の感は否めない。

 県議の大多数も、この流れに乗った形で、協議に十分な時間がかけられたとはいえない。行政機関にだけ調査協力の「拒否権」があるなど、官に甘く民に厳しい側面が残されたままだ。

 国の人権擁護法案の議論でも注目されるメディア規制の問題も、条例では「表現の自由」が具体的な文言で示されていない状態。報道機関の報道、取材の自由には「最大限の尊重」を盛り込んでいるものの、取材活動などに一定の制限がかけられる恐れもある。

 人権を侵害したと認定され、是正の勧告に従わなかった人は、氏名などが公表されるが、県弁護士会は「間違いなくその人や家族などの名誉や社会的信用を失墜させる」と指摘。運用次第では、市民の「人権」が一層侵害されることにもなりかねない。(鳥取支局 服部幸一)
Sankei Web 産経夕刊 「人権救済条例」が成立 鳥取県、来年6月に施行 都道府県で初(10/12 15:00)
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by thinkpod | 2005-10-12 15:46 | 人権


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