2005年 10月 12日

人権救済条例案を可決 鳥取県 氏名公表などに批判も

2005年10月12日12時15分

 鳥取県議会は12日の本会議で、全国初の「県人権侵害救済推進及び手続に関する条例案」を賛成多数で可決した。人権侵害の調査、救済にあたる第三者機関を設け、罰則や氏名公表などの権限を持たせる内容。県は06年6月1日の施行までに、規則や委員会事務局の構成などを詰める。

 条例案は県議38人中35人の連名で議員提案された。採決の結果、賛成は保守系や革新系会派を含め34人、反対2人、棄権1人。同条例は政府の人権擁護法案を参考にしており、国の動きを先取りする形だ。「市民生活に干渉しすぎる」「表現の自由を損なう恐れがある」「報道機関が除外されていない」などの批判が寄せられる中での条例成立となった。

 救済機関となる人権侵害救済推進委員会は知事の付属機関とされ、県公安委員会などと同様の独立性を持つ予定だ。正当な理由なく調査を拒んだ人権侵害の当事者には5万円以下の過料を科し、勧告に従わない場合は氏名・住所を公表できるなど、委員会の強制力は大きい。当事者は勧告と氏名・住所公表の際の2回、事前に弁明する権利はあるが、過料の際は抗弁の機会はない。

 こうした点について、鳥取県弁護士会は「氏名公表は社会的生命を奪いかねない。刑事罰以上の制裁なのに弁護人の選任もない」と批判。「委員会の委員に弁護士を推薦できるかどうか分からない」と、保留の態度を示している。

 また、条例では報道・表現の自由の尊重を定める一方、報道機関を適用対象から除外していない。「社会的信用を低下させる目的でのひぼう・中傷、私生活などの事実を公然と摘示する行為」を人権侵害と定義し、条文上は行為に公共性や真実性があるかどうかは問題とされないため、「批判記事などが該当する可能性もある」との懸念も出ている。

 行政機関が侵害の当事者になった場合の甘さも指摘されている。

 県が04年12月に提案した最初の条例案は、適用対象に行政機関が含まれていないことなどが問題とされた。県議会での修正の過程で行政機関も対象に加わったが、「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのある時は、人権侵害の事実の有無を明らかにせずに協力を拒否できる」とする項目が入り、捜査機関などが調査を拒める余地を残した。

 批判が多く出ていることについて、条例案に賛成した県議の一人は「条例が完全でないのは分かっているが、運用しながら修正していけばいい」としている。
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by thinkpod | 2005-10-12 14:47 | 人権


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